=つづき=ベヒモスには馴染みがない。要塞や古墳で狩りをしていた者としては未知の狩場に不安を感じていた。
狩り場を選ぶ際に要塞と古墳を提案はしたが、馴染みのない狩り場に不安を覚えるのは皆同じで、彼らの場合フェインの方が慣れているというだけのことだった。
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最後は五人死亡。リーダーのシーフだけは助かった。五人はHPであるジュノへ戻る。そして独りクフィムをひた走るシーフを待つ。リーダーは自分だけ助かって申し訳ないと
言っているが全滅よりは良いだろう。
戦術的にもっとこうあるべきだといった見解は様々あるのだろうが、1時間というさして長くもない時間で延べ11名が倒れてしまったことから自分を含めてプレイヤースキルの低さは実証済みであるので意見無用にて。あえて描写を少なくしているので突っ込みようがないとは思う。
状況からすればこれで解散であろう。それで良いと思った。今夜はツキがなかっただけだ。
狩場を変えてみませんか。と、誰が言ったのかは覚えていない。それぞれが経験値を失ったはずだし、また、それぞれが責任を感じているようで、このまま解散は辛いのだろう。
相談が始まる。しかし揃って他の狩場は知らないと言う。
30台後半にもなるのに本当だろうか。
惨事の前に変更を提案していた者としては、何を今更というのが正直なところであって、あまり気乗りではなかったので黙っていた。
ただ、必死な様子の彼らに別れの一言を言えずにいた。
ここで抜けると言えば恐らく補充人員を集めることが出来ずに解散となるだろう。
何しろ今夜は魔道士が少なかった。
「抜けます」と入力して随分と長いこと逡巡していたが、結局のところ『Enter』ではなく『Back Space』を連打していた。
何も決まらない彼らに旨い狩場の保証はしないという前置きで古墳に行ってみるかと切り出してみた。
嫌も応もない。彼らはそこに行くほかにないのだ。
ジュノからフィールドに飛び出した6人は古墳を目指して走り出す。
混雑を心配する者もいたがそれには及ばない。時間は既に深夜帯を迎えている。
行動がバラバラで縦横無尽に右往左往してようやく古墳に入る。1パーティの先客があったが特に問題はない。
骨や目玉を相手に狩りを始めた。
もちろん回復もしてくれているのだが、黒魔道士をアタッカーとするならばいわゆる後衛は自分一人である。
階段の上から一人遠巻きに眺める。
回復魔法を掛ける。
ときおりくだらねぇネタふりをして。
プロテスとシェルを掛ける。
心配を余所に稼ぎは良かった。
雰囲気が良くなってゆくのも道理だ。
長いような短いような時間が過ぎていく。
レベルアップを迎えるメンバーが出始める。
「俺たち強いじゃんw」
そうだよ。レベルにあった狩りが出来れば。
連中の姿を映し出すモニターの向こう側、窓の外が白々としてきた。今日だって仕事だから徹夜なんかするつもりじゃなかった。
でも、放ったらかしにする気になれなかった。
そろそろ終盤に近づいたらしい。
「最初はどうなるかと思ったけど、なかなか良い稼ぎでした」
「ホント楽しかったです」
「また一緒に遊んで下さい」・・・
社交辞令だろうし、珍しい挨拶でもない。ましてや自分に対して言っているわけでもない。
もう、会うことがないのは彼らに限ったことではないのだけれど、胸に熱いものがこみ上げてくる。苦労した仲間との別れだからだろうか。
=まだつづく=Close↑